星の行方 風の声



大地を揺るがす様な轟音がし、天井から小さな意志の欠片が降ってきた。

         崩れる。

 そう思ったが、もう既に彼にはそこから逃げ出せるだけの力は残っていなかった。
 痛む傷口に手を当てたまま、ぐったりと壁にもたれかかる。

 彼女は無事脱出したのだろうか       

 …大丈夫だろう。元・ソルジャーが一緒なのだから。
 あの男なら彼女が危険な目にあっても、きっと無事に助け出す事が出来る。それだけの力を持っている。

 …はぁっ

 力無く息を吐いただけでも傷口はじんじん痛む。
 死が音も無くすぐ近くまで忍び寄ってているのが、体で感じられた。
 血の気を失い、冷たくなった指先の感触は       無い。

 不思議と何も感じなかった。

 自分の死ぬ瞬間を時々考えてみた事があったが、案外そのどれにも属さず、あっけない死に方だ。

 あの男      セフィロスの長い刀の切っ先がゆらりと動いたと思ったら、体に暑い衝撃が走った。
 銀の残像の向こうで、セフィロスがニィッと冷たく不気味な嗤いを浮かべたのが見えた。

 セフィロスの姿は消え、自力でここまで戻って来たがもう駄目だ。ただ、死ぬ前にエアリスの姿が見れたのがせめてもの救いだと思った。

 最後に聞いた彼女の言葉は手痛い言葉だったが、彼女らしいと言えば彼女らしい。

 元気そうだった。それでいい。

 そう思い、薄く笑みを浮かべてツォンは意識が急激に遠のいていくのを感じた。




 体が痛い       

 …痛い?

 感覚が…ある? 生きている…?




 目を開けると、そこは白い空間だった。

 遠くで人々のざわめきが聞こえる。薬品の匂いがする。

 ああ…ここは病院か。

 助かったのか…。

 崩れゆく古代種の神殿の中、どうやって助かったのか。誰かが助けてくれった事は確かだ。誰が       

 そう考えながらも、自然とエアリスの顔を思い浮かべている自分に、ツォンは苦笑した。そんな訳が無い。
 自分はエアリス達の敵。あの集団の中にいるアバランチの大男は、神羅カンパニーに対して異常な程の敵意を持っていると聞く。
 そんな者がいる所に耳鼻運が受け入れられる訳が無い。

 甘い考えは持つだけ無駄だと何年も前に悟った筈なのに、どうして人間というものは自分の都合の良い様に、
 自分の望んでいる様に物事を考えてしまうのだろう。

 だとすれば       

 ツォンが考えを改めた時、病室のドアが開く音がした。

 姿を現したのはイリーナだった。

 「…イリーナ…」

 大きな花束を抱えて入って来たイリーナは、ツォンの声に目を見開き、その手に持っていた花束を床に落とした。

 「あ…あ…せ、先輩っっ!!」

 イリーナはそう叫び、あわただしく病室から出て行った。
 バタバタと廊下を走る音と、看護婦が何やら怒っている声が聞こえた。

 相変わらず、いつまでたってもそそっかしいイリーナに、ツォンは思わず溜息を吐く。
 あの様子だと、近くにレノとルードもいるのだろう。

 「生きて…いたか…」

 まだ掠れた声で、ツォンは呟く。

 タークスとしての自分がまだこの世に必要なのか、ツォンとしての自分が必要なのか。
 それは分からないが、彼はまだ生きていた。




 「良かった…良かったですうぅっ! ツォンさんっ!」

 イリーナがベッドの横で、涙を流して床に座り込んでいた。
 レノも心なしか、目に薄っすらと涙を浮かべている。ルードはと言えば、
 相変わらず濃いサングラスを掛けているので表情は分からないが、その顔は赤い。

 「…心配を掛けた様だったな。悪かった」

 「死んだかと思いましたよ、と」

 「古代種の神殿に異変が起こっているんで、一応確認の為にツォンさんに呼びかけてみたんです。
 でも、応答が無かったんで、もしかしてって思って先輩達と駆けつけてみたら…。
 ホント、危機一髪でした。私たちも危なかったんですよ」

 イリーナの説明を聞き、ツォンはこの三人が自分の命を救ってくれた事を理解した。

 「済まなかった。有り難う」

 ツォンは心から、有能な部下達に礼を言った。



§§§



 空に禍々しいものが浮かんでいる。

 世界の何処に行っても、それはその姿を人々に見せ付けた。

       メテオ。

 セフィロスがマテリアを手にし、発動してしまった巨大な隕石。

 人々はもう1つの太陽の下で、狂気の祝宴を繰り広げていた。皆が自棄を起こし、世界中の犯罪率は大幅に上がった。
 その中でも、世界の中心とも言うべくミッドガルの惨状は目を覆うばかりであった。
 治安統治部門総括のハイデッガーも苦心しているらしい。

 メテオはそんな哀れな人間たちを嘲笑うかの様に、日に日にその姿を彼らに近づけて行った。

 もう、誰も狂い始めた世界を止める事は出来なかった。

 そんな中、彼らの主であるルーファウス・神羅は正に世界の中心となって、最後の抵抗を続けていた。
 莫大な資金をつぎ込んだ神羅カンパニーの化学兵器に、人々は一つの希望を見出そうとしていた。

 だが、大いなる力の前にそれはいつまで通用するのか。




 こんな自制になった今、タークスの仕事もまた忙しくなっていた。
 リーダーであるツォンの元、レノ、ルード、イリーナは世界を駆け巡る様にして仕事をこなしている。

 まだ本調子ではないが、現場に足を運ぶまでに復活していたツォンは、平気開発部門統括スカーレットに呼び出されてジュノンに赴いていた。

 古代種の神殿で、崩落した岩盤に巻き込まれかけたツォンは、失ってしまった体のパーツを手術によって人工の物にして補っていた。
 それは、まだ新しく自分の体となった部分に違和感を拭いきれないでいた時の事だった。

 スカーレットは耳障りな甲高い声で笑う女で、その体からは常に強烈な香水の匂いが漂っていた。
 露出度の高い服を好み、また外見から推測出来る様に男を食うのが好きな女でもあった。

 だが、そのスカーレットが最も好むのは、陰湿で非道なゲームであった。



 「見なさい、ツォン。この顔を見れるのも最後よ」

 スカーレットに連れられて、ツォンはジュノンの牢に来ていた。
 冷たい鉄格子の中で、噛み付きそうな目でこちらを睨んでいるのは、
クラウドの仲間であるアバランチの大男バレットと、女格闘家ティファであった。

 「ちょっと! ここから出しなさいよ! この年増!」

 ティファが鉄格子を握り締め、スカーレットに向かってそう叫んだ。

 「無駄よ! 無駄無駄無駄! ここからは出られないわ! キャハハハハハハハ!」

 いつもの高笑いをわんわんと牢の中に響かせ、スカーレットはハイヒールの硬質な音を立てて去って行った。

 残されたツォンは、スカーレットの後を追わずに鉄格子で隔たれた二人を見る。

「何だよ! 俺達は見世物じゃねぇ! 出す気が無いならとっととここから消えやがれ!」

バレットが赤い顔をして怒鳴る。彼にとって、スカーレットは忘れる事の出来ない敵だ。
 その相手に二度も屈辱を味あわされ、バレットの怒りは最高に高まっていた。

「悪いがここから出す事は出来ない」

冷静に言うツォンに、バレットは頭から湯気が出そうな勢いで怒鳴る。

「悪いと思ってもねぇクセにそんな事言うな! 消えろ!」

「消える前に一つだけ訊きたい。エアリスは今何処にいる?」

ツォンの言葉にそれまで烈火の如く怒っていたバレットが、ハッと息を呑む。
 ティファも苦しそうな表情で、そっとツォンから顔を背けた。

「……どうかしたのか? エアリスはどうしたんだ?」

二人の態度に嫌な予感を覚えたツォンだが、尚も問いただす。

沈黙を守る二人に、ツォンの声は冷静な彼らしくもなく、次第に荒くなっていった。

「何かあったのか!? 教えてくれ!」

やや暫くしてからティファがこちらを向き、ツォンの瞳をその目で真っ直ぐに捕らえた。
 その目は涙で潤んでいる。

「エアリスは…死んだわ。古代種の都でメテオを阻止する為にホーリーに祈りを捧げていた時、無防備な状態をセフィロスに…」

そこまで言って、ティファの声は言葉にならなくなり、嗚咽が洩れはじめた。
 バレットも気まずく黙っている。
 二人共、目の前にいるタークスの男がエアリスに想いを寄せていたのを知っていたから、余計その沈黙は重かった。

「エアリスが…」

ティファの言った言葉を理解するのに、ツォンは時間を要した。頭の働きがいつもの数倍も鈍い。
 怪我の後遺症かと、ぼんやりする頭の片隅でツォンは思った。

そのままツォンは何も言わずにその場から立ち去っていった。

「…言わない方が…良かったのかな…」

「…判んねぇ。でも、黙っているよりはいいと思うぜ」

バレットは過去の事故で武器と化してしまった右腕を撫でる。冷たい感触が掌を通して伝わって来る。

冷たいと感じるこの手は、体は、生きている。
 だが、静寂に守られた古代種の都の冷たい湖の底で眠っているエアリスは…。

そう思うと、バレットの目の奥はじわりと熱くなる。

膝を抱えた姿勢で、ティファは顔を膝の間に埋めた。

コレルの事件で苦悩するバレットに対しての態度に、冷たいと思った事もあった。
 自分を偽らずにクラウドに対して接するエアリスに、少し嫉妬を感じた事もあった。
 だが、エアリスは戦いを通じて心から信じ合える様になった親友だ。

「…ツォンって、エアリスの事心配してたもんね…」

ミスリルマインでの事を思い出し、ティファが呟く。

「大丈夫かな…」

バレットはティファの言葉に、気休めでも「大丈夫だ」と言う事が出来なかった。
 大切な者を失った時の悲しみ、喪失感は、彼は身に染みて誰よりも解っていたからだ。

あの場で涙を流すくらいなら、その内いつかは心に残った傷を抱えながらも立ち直るだろう。
 だが、魂が抜けた様な状態で去って行ったあの後姿は…。

人は本当の悲しみに出遭った時、涙すら流す事が出来なくなる。涙で流せる悲しみなど、大した事はないのかもしれない。

沈黙がいつまでも、薄暗い牢を支配していた。



『えありすハ…死ンダワ』

ティファの言葉がいつまでも頭の中をリフレインする。

ジュノンにある来賓用の部屋のベッドで、ツォンは羽根枕に頭を埋めて寝転んでいた。

頭の中はエアリスの事で一杯だった。

初めて出会った時の事。数回会う内に、エアリスに不思議な魅力を感じていった事。
 後番街スラムの教会の花畑で健気に花を育てていた姿。気が付けば美しく成長していて、その美しさに改めて惹かれた事。
 小さな少女の命のと引き換えに、こちらに来た時のきつい瞳。クラウドと一緒に居た時の顔。

その全てが、今となっては水疱の如く儚いものだった。

セフィロスに殺されたとティファは言った。

その光景を、ツォンは何故か容易に想像出来た。

祈りを捧げるエアリス。忍び寄る死の影の如くセフィロスの姿。
 この身を切り裂いたあの長い妖刀が振り上げられ       一気にエアリスの胸を突く。
 鮮血が舞い、ゆっくりと膝から崩れ落ちるエアリス。

死神に攫われながらもその目は穏やかに澄んでいて、誰を憎む事無く、誰を恨む事無く、全てを許し、儚い微笑みを残してエアリスは死ぬ        

そういう娘だ。エアリスは。

力の入らない体でツォンは寝返りを打ち、虚ろな目で天井を見上げる。

この想いを伝えておけば良かったのだろうか?
 無駄だと解っていても、こうなってしまう前に伝えておけば良かったのだろうか?

否、伝えてもどうにもならないだろう。仮にエアリスの知る異性が自分だけだとしても、結ばれる事は無いだろう。
 もし、自分が神羅の者ではなかったら…? それでもきっと、無理だ。エアリスの心の中に自分は入れない。
 あの純粋で無垢な心に入るには、自分はあまりにも汚れすぎている。

こうなる事を知っていたとしても、きっとエアリスに想いを打ち明ける事はないだろう。

ああ…あの妖刀が奪う命が、エアリスではなく自分だったら      



『どうして髪を伸ばしているの?』

『願をかけているんだ』

『がんって?』

『お願いのことだよ。エアリスは何かお願いはないのかい?』

『ある! いっぱいある! お花がもっといっぱい咲きますように…とか、
 みんなの笑顔がいっつも見られますように…とか、あとね…』

『エアリスは優しい娘だね』




あれはいつの事だっただろう…。

そうだ、エアリスと会って暫く経ってからだ。

まだ、タークスとしてエアリスに嫌われていなかった頃。
 まだ新人タークスだった時の仕事で、古代種の見張り役という名目で子守り同然だった。

そう、私は願をかけてこの髪を伸ばしていた。
 目の前の小さな女の子がいつか美しい女性になる時、それまでこの優しい娘が幸せでいられる様に…と。

神羅に利用される運命の元、決してこの娘は普通の女の子としての幸せは得られないだろう。
 この娘を監視するという任務を担った以上、せめて気休め程度でも願をかけようと…。




願いは叶わなかった。

エアリスが不幸だったか、幸せだったかは判らない。だが、あんな若さで命を失ってい訳が無い。
 これから先、まだまだやりたい事、楽しい事があっただろうに…。

それでもエアリスは言うのだろうか…。『私、不幸なんかじゃなかった』と…。




「あら、ツォン。どうしたの?その髪…」

翌日、ミッドガルへ戻るツォンを、ヘリポートまで見送りに来たスカーレットが言った。

ツォンの長く伸ばされていた黒髪は、ばっさりと短く切られていた。

「いえ…ただの心境の変化です。これから多忙になる身の上ですから、気合いを入れる為にも」

スカーレットの問いに、ツォンはいつもの冷静な声で淡々と応える。

「そう、いい心掛けだわ。でも残念ね。これからとっても楽しいショーが観られるのに…」

「そうだったのですか、それは残念です。…それでは、そろそろ時間ですので失礼致します」

腕時計をちらりと見、ツォンはスカーレットに一礼をすると、彼を待っているヘリコプターに乗り込む。

赤いスーツを纏ったスカーレットを眼下に、ヘリコプターはミッドガルへ進路を定めて発進した。
 巨大なキャノン砲が次第に遠ざかって行く。

その翌日、ジュノンはウェポンの襲撃を受け、ティファとバレットはその混乱に乗じて仲間に救出され、飛空艇ハイウィンドを奪って逃走した。



§§§



世界が恐怖と恐慌に包まれていた。

今やもう一つの太陽は、その荒ぶる牙を整然としたミッドガル都市に向けていた。
 爆風が渦巻き、強固に建設された筈の建物はまるで紙細工の玩具の様に壊れ、吹き飛ばされた。
 神羅ビルも例外ではない。主を失った摩天楼はその生涯を終えた。

「すげぇ……」

都市開発部門統括リーブの避難勧告に従って、大勢の避難民でひしめくミッドガル近郊の町カームでレノが呟いた。

「もう……終わりか……」

その横で、ルードが力無く言葉を吐いた。

震えるイリーナの横で、ツォンは黙って世界崩壊の光景を眺めていた。

この世界が終わる。

形あるものはいつかは滅びる。

もうすぐ自分も、あの光と爆風に巻き込まれ、エアリスの元へ行ける。

そう思うと、不思議と恐怖は感じなかった。

「ツォンさん……平気なんですか?」

涙を流すイリーナは、隣りでいつものクールな横顔を保っているツォンが信じられなかった。

ツォンはそれに答えなかった。

否、聞いていなかった。

ツォンはただ、メテオが世界を食い尽くしていく光景を、魅せられたかの様にじっと眺めていた。

「ツォンさん……」

「おい……あれは何だ?」

レノが窓からはるか地平を指差して言った。

赤く染まった空と大地の間に、何か緑色に輝く帯状の光がミッドガルを目指して急速に近付いて来るのが見えた。

「何だ……あれ……また、何か来るのか……」

ルードが震える声で言う。

その時、彼らの背後で幼い声がした。

「……お花のお姉ちゃん?」

バレットの義娘マリンが、誰かの声を聞いたかの様にそう呟き、窓から外を見る。

その様子を、奥からエルミナを支えたリーブが見ていた。

「ねぇ! 何? あの緑の光、何なんですか!?」

恐慌状態に陥ったイリーナが、顔を覆って叫ぶ。それをレノは、水からも底知れぬ本能的な恐怖に震えながらも支える。

「大丈夫だよ。あの緑の光は。お花のお姉ちゃんが、大丈夫だよ……って」

マリンが言う。

「お花のお姉ちゃん……? あの古代種の娘か……?」

ルードが呟き、次第に大地そのものを見泥の光で覆ってしまう程に、勢い良く近付いて来る光を見遣る。

「うわっ……呑み込まれるっ……」

レノが叫び、その瞬間カームは温かい慈愛の光に包まれていた。

「ホーリーだ……」

リーブが呟く。

「ホーリー……エアリスの祈りが……」

ツォンは温かい光に身を晒されながら、ふとエアリスの言葉を思い出していた。



『みんながずっと、幸せに暮らしていけますように…』



「エアリス……」

ツォンは呟き、心にぽっかりと開いてしまった大穴が、何か温かいものによって満たされていくのを感じていた。

それは、まるでツォンの呼び掛けにエアリスがこたえたかの様であった。

あたたかい……癒しのひかり……

癒しの存在      それはエアリス自身だったのかもしれない。

クラウド達の手によって解き放たれたホーリーと、まだ消滅していないエアリスの祈り、
 世界中の人々の祈り、星の祈りが引き起こした奇跡の光       



全ての生命が起こした奇跡       



§§§



「……これから、どうするんですか?」

イリーナの声に、リーブは答えた。

「新しいミッドガルに代わる都市の建設だ。魔晄エネルギーを用いない新しい都市を建設してみる」

「……お手伝い致します」

ツォンが言った。

「君達の上司はもういない。君達はもう、神羅に捕われる事はないんだぞ?」

リーブの声にツォンは少し笑った。

「新しい都市は、どうか花や植物の多い都市にして下さい。それが私の望みです」

「……そうか」

ツォンの言わん事、想いを理解してリーブは頷く。

「俺達タークスは、はっきり言って神羅以外で働くのは難しいんですよ、と」

「私はタークスのリーダーに全て従いまーす」

レノとイリーナの言葉に、ルードが頷く。

「有り難う」

リーブは、ケット・シーを通じてクラウド達に感じていた疑問の答えを、タークス四人の中に見出した気がした。



再び生きる力を、エアリスから分けてもらったツォンは、誰にともなく微笑んだ。

恐らくその微笑みは、ライフストリームと一体になり、風や大地、森の木々のざわめきへと還ったエアリスへのものだろう。

今、目の前にあるのは生きる意志を持った者達。

通り過ぎる風が、大切な少女の声でそっと笑った気がした。



終        

これまたかなり昔に作った…いつでしょう。高校生か大学に入ったばかりか…そのあたりの
小説です。いわたまさこきゃーさん主催の『TARKS』という合同同人誌で、ツォン主人公という事で
書きました。生きていればいいなぁ、という事で…。ちなみに淡海、原稿書いて送るだけ送って
完成品の同人誌貰わないままでした…。うう、どんな本になったのか見たかった…。

ていうか、ツォンさん髪切るとかリーブがボスとか社長死亡フラグとか、ACでは
有り得ない設定ですみません。FFZがポリゴンで生き生きとしていた時代に想像で書いたものなので。

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